3. 物理停止
MikuMikuDanceでは、実行ごとに物理シミュレーションの結果が異なります。例えば髪やスカートの挙動などです。こうした物体の挙動を EquirectangularX.x での複数回レンダリング中に同一になることを保証するために、あらかじめ物理演算の内容を保存し、再生時に保存した挙動によってのみレンダリングする(乱数等を用いない)ようにすることが本節の目的です。
[memo] 物理シミュレーションの結果を実行ごとに異ならないようにする方法もなくはないのですが、ここでは扱いません。止めておいたほうが(たぶん)スカートの破綻とか確実に見つけてつぶせるので嬉しいかなと。
物理停止の作業は、カメラワークと直接関係はしないので、本当はここで行う必要はありません。1.節より前でも、4.節より後でも構いません。次の4.節でVR180でのカメラワークを紳士の極限まで追求するには、今のうちに作業を行っておくのがよいと思います(笑)。
物理停止をすると、pmmファイルサイズが大きくなるので、MikuMikuDanceでpmmファイルを開くときや保存するときに時間がかかるようになります。注意してください。うp主の環境では、pmmファイルを開くのに2分以上かかることもよくあります。
3.1. MMDMの導入
サイト https://dw.z5i.net/mmdm/ (nef様)
DLしたものを展開して使えるようにしておきます。
今回の動作確認は 0.0.2.6 版で行っています。
3.2. MMDM用スクリプトの導入
3.3. 焼込実行
MikuMikuDanceに、325-302.ppmを読み込んでおきます。
MikuMikuDanceでは、メニューから「物理演算」⇒トレースモードを選択しておきます。
焼込実行の間は見た目は関係ないので、少しでも早く処理するために、メニューからMMEffect⇒エフェクト使用、をオフにしてMMEを停止してしておきましょう。
あとは、下記の作業を、物理を含んでいる全てのモデルそれぞれについて行います。
- MikuMikuDanceのモデル編集モードで物理を含むモデルを選択し、第0フレームに合わせたあと、メニューから「物理演算」⇒「物理影響ボーン選択」(フレーム操作ペインにて、当該ボーンが赤文字表示になるはず)
- MMDMでmacro⇒物理焼込⇒繰返・ボーン操作登録:**を選択
- 動画の長さに合わせたフレーム数を指定して実行
上記で、**に相当する部分には、毎フレーム/2フレーム毎/3フレーム毎/5フレーム毎、のいずれかを選んでください。
数字が小さいほど物理現象の正確な保存になります(たぶん)。
ただ、数字が小さいほど、登録フレーム数が増え、処理が遅くなります。
また、MikuMikuDanceには、登録できる編集点数の上限が600000個という制約があるので、数字が小さいと焼込途中で上限に達して焼込実行失敗という悲しい目に遭う可能性があります。
うp主の製作動画では、モデルが複数だったり、中には物理ボーンがてんこ盛りのモデルがあったりするので、3フレーム毎か5フレーム毎を使うことが多いです。
[メモ] 物理ボーンが50個あるようなモデルを3体使うと、1フレームで50x3=150点使います。6000フレームの映像(200秒=3分20秒)で毎フレーム打つと、150x6000=900000点になってこれだけでアウトです。そんなモデルあるのか、と思うかもしれませんが、意外にあるんですよねぇ。このような場合でも、3フレーム毎にしてしまえば、900000/3=300000点になって、何とかなる感じです(元からのモーションが使っている点数にもよりますが)。
髪やスカート等どこかで破綻が見つかったらパーツの配置などを見直して、焼込実行を再度実行してください。
最後に、メニューから「物理演算」⇒「演算しない」を選択して(MMEもエフェクトをオンにして)最初から最後まで通し再生し、物理が演算されてなくても、見た目上、物理が反映されているように見えることを確認しましょう。VR180では今のカメラ視野より広いところを撮影するので、その辺りにも破綻がないか確認しておいたほうがよいです(経験談)。
全ての確認が済んだら、325-303.pmm として保存します。保存には数分ぐらいかかると予想されます。忍耐強く待ってください。
これで3.節の内容は終了です。
次は 4.節 VR180カメラワーク調整 に進みます。
3.4. トラブルシューティング
稀に、上記の手順で物理停止すると、見た目がおかしくなるモデルがあります。物理など使って凝った形状生成していたりするとそうなることがあるようです。「物理演算」を「演算しない」にして再生すると見た目がおかしくなって、「物理演算」をするようにして再生すると見た目がまともになる場合がこれに該当します。
この場合は、使うモデルそれぞれで
1. 「物理演算」⇒「全ての物理ONフレーム選択」
2. 「物理演算」⇒「物理ON/OFFフレーム変換」
を行い、「×」とマークされている編集点を全て「◆」に入れ替えてください。
その後、「物理演算」を「トレースモード」(オン/オフモード、常に演算、でも構いません)で再生して挙動がおかしいモデルの部位を探し当てて、それについてだけ編集点を削除してください。
うまく削除できれば、「物理演算」を「トレースモード」で通し再生したときに挙動が正常に見えるようになると思います。この場合は、今後もトレースモードで再生するように指定した状態でpmmを保存しておいてください。
[メモ] 厳密には、この対処では複数回レンダリング時に物理シミュレーションの影響を受けるボーンが同じ挙動になることを保証できないのですが、経験上、おかしくなるような機構は乱数を用いていないので、トレースモードで同じ挙動になります。
ちなみにおにぎり道場式の大腿ボーンについての対処法は こちら にまとめました。
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