2021/03/08

MMD-VR180 HOWTO Chap.4 VR180カメラワーク調整


4. VR180カメラワーク調整


ここまでは EquirectangularX.x を導入しない状態でできるだけ準備してきました。
ここでは EquirectangularX.x を導入して、VR180ならではのカメラワークの微調整を行います。
MikuMikuDanceを起動し、325-303.pmm を読み込んだ状態で作業を開始します。


4.1. EquirectangularX.x の導入


サイト EquirectangularX.x (
ほうりき様)
https://bowlroll.net/file/166172
からEquirectangularX.xをDLして、アクセサリとしてMikuMikuDanceに読み込みます。

1. カメラ編集モードにします。第0フレームで作業します。
2. EquirectangularX.x の Rz を 90.0 に変更して登録します。
3. メニューから、表示⇒出力サイズを変更します。
  2K規格なら幅・高さとも 1024 です。
  4K規格なら幅・高さとも 2048 です。
  5K規格なら幅・高さとも 2880 です。
  作業としてはどれでも同じです。
  テストをしてる間は2Kがお手軽でよいでしょう(画は荒いですが)。
4. カメラ操作で、視野角を一旦125°にして登録します。
5. カメラ操作で、視野角の数値表示のところに135と無理矢理入力してエンターキーを押してから「登録」します。
6. 念のため、フレーム操作で数フレーム前後させてから第0フレームに戻ってください。視野角が135°になっていれば成功です。

[メモ] 125°でもいいのですが、この僅か10°(±5°ずつ)が、貼り合わせの継ぎ目境界をより視野の端に追いやるので、結構効くと感じています。レンダリング範囲が広くなって処理が遅くなるという副作用がありますが、どうせバッチ処理なので、うp主は気にしていませんwちなみに135°という値は EquirectangularX.x で対応できる上限値のようです。135°以上にすると画がおかしくなり始めます。あと、後のブレンディングのマスク処理で、マスク画像を135°に合わせてますので、135°以外の値では結果が予期していないものになります。

この状態が基本形になります。325-304preview1.pmm として保存しておきましょう。

この状態ですでに完成しているので、再生して不満がなければ、5.節のレンダリングに進んで構いません。

ちなみに、325-304preview1については、再生してみるとステージのないところが見えてしまって、そこに空中を漂う埃が黒く映ってしまっています(下左図の左端一帯の黒い点群)。そこで、MotionBlurエフェクトでついでに配られている黒背景.xをアクセサリリストのトップに導入して消しておきました。そうした修正をしたものを325-304preview2.pmmとします。


4.2. 調整


経験上、元の2D動画を視野角35°ぐらいで調整してあると、3.1.節の直変換だけで再生してみるとやや迫力不足(モデルさんが遠い)感じです。これを調整します。

調整中の映像確認は、モデル編集モードで「VR180視点f16」を選択し、「作業用視点」ボーンに追従しながら見るようにしてください(視点がボーン追従していれば出来上がりと幾何的には同じ画です。なお「作業用視点」ボーンは確認専用なのでこのボーンに編集点を打ってはいけません)。ただ、pmmの構造が複雑になってなってくると、ボーン追従が更新されなくなってしまうこともあるようです。そのときは、値を変えたらカメラ編集モードで確認し、すぐにモデル編集モードに戻る、ということを繰り返しましょう。
カメラ編集モードで思わずカメラ操作を登録しないように!(レンダリング時に画が狂います)


4.2.1. 円軌道カメラワーク


注視点を適切に設定していれば、大きさの調整=半径の変更、となります。
「VR180視点f16」モデルの「★アーム長-」ボーンのZ値の調整で一括変更できます。

フレーム操作で「VR180視点f16」モデルの「★アーム長-」ボーンを選択し、選択範囲を0から9999フレームぐらいにして範囲選択したあと、メニューから編集⇒ボーンフレーム位置角度補正でボーン位置のZ値を0.5倍にすれば一括変換できます。距離を削りすぎた場合は、同じ要領で1.2倍するとかいろいろ調整楽しんでください。

おおむねいい感じになったら、あとは、各時刻で「★アーム長-」ボーンのZ値を微調整していってください。

注視先がずれているような場合は、「★注視点」(と必要なら「★注視水平角」も)で調整し直しましょう。意図的に注視点からカメラを逸らすなら、「★見回し」で角度変更するのがいいかもしれません。それでも調整しきれない場合は、「▼移設カメラ」のX/Y/Z, Rx/Ry/Rzも使って構いません。(ただ予期しない動きになることが多いので大変です‥)


4.2.2. カメラ移設


2Dカメラを1.節から移設してきた場合は、なんとも言えません。元のカメラワークでカメラ中心位置が注視先になるようにしてあれば、大きさの調整≒▽距離(のZ値の変更)、と言えます。(配布されているカメラワークでこうなっていないものもたくさんありますので御注意)

カメラ中心位置が注視先になっているのなら、フレーム操作で「VR180視点f16」モデルの「▽距離」ボーンを選択し、選択範囲を0から9999フレームぐらいにして範囲選択したあと、メニューから編集⇒ボーンフレーム位置角度補正でボーン位置のZ値を適切な倍率にすれば一括変換できます。

325-304preview2.pmmでは、だいたいこの仮定が間違ってはいないので、一括変換で問題ないでしょう。1.1.5.節のようにボーン追従している場合は、同じ倍率を「▽移動follow」ボーンのZ値にも施します。

なお、カメラ中心位置が注視先でないような場合は、無理矢理でよければ、「▽距離」ボーンの位置Z値以外(位置X/Z, 回転Rx/Ry/Rz)も変更して構いません。(3.2.1.同様に「▼移設カメラ」で調整してもいいのですが、「▽距離」の編集点はカメラワークの切替になってるはずなので、その値を上書きしてしまうのが一番お手軽です)

あとは、さらに気に入るように、▽距離ボーンの値を適宜変更してください。

4.2.1. / 4.2.2. の調整が済んだら、325-304final.pmmとして保存しましょう。
カメラ操作登録(カメラ編集モードでの「カメラ」)が第0フレームにしかないことを再度確認してください。(うp主は最初のうち、思わずこれを何度もやってしまってデバッグに苦労しました)
これで1.節から3.節まで続いた編集作業は終了です。

ちなみに、325-304finalでは▽距離と▽距離followのZ値を0.5倍しただけで作業終了させています。
・その3 https://youtu.be/v7PFiQAdHOs (平面図)
・その4 https://youtu.be/tuvY3QAaXRI (VR)
・おまけ3 https://youtu.be/PHt7VUYg5-c (325-304preview2, 距離修正前)
です。その3の映像の中央部は、今MikuMikuDanceで見ているものとほぼ同じです(正確には左右の視差の分だけずれてますが)。おまけ3は距離の修正前です。その4では距離を半分にして対象に近づいていることになります。

次は5.節の レンダリングとエンコーディング で最後です。
まだ文章を読む気があるのなら、4.3.節も是非どうぞ。


4.3. Tips


ここからは、ま、どうでもいいことです。


4.3.1. 大きさの目安


本解説の方式に従うなら、EquirectangulerX.xの描画範囲は135°です。
カメラワークとしては、対象モデル(人型に限る)をこの独特の樽形状内に余裕もって納めるようにしておくのが最初のうちの目安です。
こうしておくと、手を突き出されてもだいたいギリギリセーフになることが多いです。
例えば、あにまさ式初音ミクVer.2で上下を均等に余らせる(中央がちょうどスカートの下端w)ような画を円軌道カメラワークで実現すると、円の中心(★注視点)の高さが9.60で、半径(★アーム長-)は-9.40です。

この状態でミクさんに左90°回ってもらって撮影すると、下の左になります。
このときのカメラ位置を緑の箱で可視化したのが下の右です。

この状態で「作業用視点」ボーンの回転角度をいじると、回りも確認できます。
緑の箱で示したカメラ位置でカメラを回す感覚です。
Rxを-45°にしてみたら下記のような画になってました。
袖がクリッピングに喰われてるか心配だったんですけど大丈夫そうですね。
円軌道の中心を肩の高さ程度に上げると、下の状態です。指先までレンダリングされてますね。半径を改めて調整しなくてもとりあえずOK。

この距離だとミクさんが結構近くて迫力を感じられます。ミクさんの手がカメラに届かないということは、こちらの手もミクサンの体には届かないw。でも、おそらくミクサンの手には届きます。(実際にVRデバイスでこれをやってる姿を他人に見られたら超恥ずかしいことでしょう‥)

これより近いと、手を伸ばせばミクサンの体に届く距離ということで、圧倒的な迫力になります。紳士的には最高!ですが、クリッピングに負ける可能性が飛躍的に高まることと、VRデバイス(とそれを見る人の立体認知能力)によっては近過ぎて立体視が難しくなります。


4.3.2. 常に中央にモデルを置くこと


2体以上の動画を作る場合、2D動画なら対象モデル達がフレームインしてれば特に問題ありませんが、VR180動画では配置に気を使うほうがよいです。
下記の例では、うp主の主観的には左はOK、右はあまりよくない例です。
うp主的考察としては、VRデバイスを被って空間的にものを見ているとき、一度に見れる範囲が左図ぐらいまでだからです。
とはいえ、ずっと左のような状態だと対象が遠くてVRで視聴する意味が薄れてしまいます。
解決策として、右のような感じの2Dカメラワーク区間では、時間を半分に区切って、前半はミクさんを中央寄りに、後半はすっとカメラを移動させてリンちゃんを中央寄りに据えたりすることで見易さに気を使ってます(下図参照)。VR180で中央がずっと空白というカメラワーク(上図左)が続くのは、かなり辛い感じの動画だとうp主は感じてます。


4.3.3. Working FloorがVR180では紳士的に無敵な件

もし、今回のうp主の記事がどこかの誰かの動画作成に貢献できているなら、うp主の希望はただ一点、できればWorking FloorなVR180動画作ってください、です(をぃ)。
うp主が理想とする動画は、(めいっぱい紳士な動画作るという欲望も否定しませんが)一見健全に見えてるけど、紳士なら気づくようなところに紳士さが埋め込まれてるような動画です。
作ってみれば実感してもらえると思うのですが、視野角135°の端(正面から端まで67.5°)というのは相当意識しないと目を向けない境界線です。しかし、VR180では当然、正面から90°まではレンダリングします。残り22.5°が紳士的に涅槃の領域だと悟りました。あとは下の図を見て察してください。点線が視野角135°の端です。これは4.3.1.の最後と同じカメラ配置です。ミクさんはVR的にかなり正面に大きく(手を伸ばせば顔に手が届くかもという程度に)迫っています。普通、そんなときに下とか見ませんよね。下に目を向ける(赤矢印)のは紳士だけw。

雑学が済んだところで、次の5.節の レンダリングとエンコーディング に移りましょう。









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